「給料が減りそうだから、養育費を減らしてもらうかもしれない」。
元夫からそう言われたのは、ある日の電話でした。
責めるような言い方ではなく、こちらの様子をうかがうような言い方だったので、とっさに何と返せばいいかわかりませんでした。
その時点で振込額が減ったわけではありません。まだ「かもしれない」という話で確定ではなく、「もしも」の話です。
それでも頭の中では「受け入れなきゃいけないの?」「拒否できるの?」とぐるぐる回っていました。

私たちの生活はどうなるの…って、そればっかり考えました。
結論から言うと、養育費は支払う側が一方的に減らしていいお金ではありません。
この記事では、減額のルールと、取り決めの書面がない私が実際にやっている備えを、「受け取る側」の立場からまとめました。
- 「養育費を減らしてほしい」と言われたとき、応じる義務はあるのか
- 一方的な減額が認められるのかどうか
- 取り決めの書面がない場合に、今からできる備え
- 減額をほのめかされた私が実際にやっていること
元夫から「養育費を減らすかも」と言われた日
とっさに返せた言葉は「ほんと不景気よねー…」だった
減額の話が出たのは、電話と、直接会ったときの2回だ。
「会社の都合で給料が減りそうなんだよね。そうなったら、養育費も減らしてもらわなきゃいけないかもしれない」。
嫌な感じの言い方ではなかった。むしろ、こちらの反応をうかがうような言い方で、少なからず申し訳ないという気持ちがあることは感じられた。
それに対して私が返せた言葉は、「あー…ほんと不景気よねー…」。
それだけだった。(我ながら、悲しい語彙力…)
心臓はギュッと掴まれたみたいで苦しいのに、口から出たのは分かったような分からないような相づちだった。

わかる…。
私も「そうだよねー…」って言っちゃいそう。
あとから湧いてきた、モヤモヤの正体
本格的に湧いてきたのは、一人になってからだ。
元夫は、結婚している頃こそお小遣い制でやってくれていたけど、独身時代は欲しいものがあれば買うタイプで、お金の管理も、正直ゆるい。
今も家のローンを払っていることも、離婚して外食が増えたことも知っている。でも、離婚した今、あれこれ好きにお金を使っていることも知っている。
だから、思ってしまった。
「締めるところ、そこからじゃなくない?」と。
自分の生活を見直すより先に、「減らす候補」として子どものお金が出てくる。その順番に、元夫の養育費への意識の低さを見た気がして、悲しさと怒りが混ざった。

欲しいものは買うのに、削る候補は養育費なんだ…。
養育費は、勝手に減額していいお金じゃない
養育費の減額を言われた側がまず知りたいのは、「相手は勝手に減らせるのか?」だと思います。
答えはシンプルで、支払う側が一人で決めて減らしていい仕組みはありません。
法務省の説明では、養育費は「子どもの監護や教育のために必要な費用」とされています。
つまり、元夫から私に渡すお金のように見えて、実際は子どものためのお金なんです。
そして、決めた金額を変えるには手続きが必要です。法テラスによると、まずは父母の話し合い(協議)。まとまらなければ、家庭裁判所の調停や審判という流れになります。
つまり「来月から減らすね」と宣言して振込額を変える、というのはルール上できないことなんです。

養育費の金額変更には、お互いの合意か、家庭裁判所の調停・審判が必要です。
支払う側が一方的に決められるものではありません。
参考:養育費(法務省)/養育費の増額・減額は可能ですか(法テラス)
→養育費はいつまで払ってもらえる?支払期間の考え方と取り決めのコツ
減額に応じる義務はない。その場で返事しなくていい
減額が認められる基準は「予測できなかった事情の変更」
「じゃあ、正式に減額を求められたら、応じるしかないの?」と思いますよね。
法テラスによると、養育費の増額・減額を請求できるのは「金額を決めた当時に予測できなかった事情の変更」が生じて、今の金額が実情に合わなくなった場合です。
話し合いで合意できなければ、家庭裁判所の調停で、お互いの収入などをもとに話し合うことになります。
金額の目安には、裁判所の算定表が使われます。
→養育費の相場はいくら?年収別の目安と算定表の見方を受け取る側が解説
「減りそう」の段階で、養育費の減額は確定していない
我が家のケースは、まだ「給料が減りそう」の段階です。実際に減ってはいません。
決まってもいない話に、先回りして「いいよ」と言う必要はありません。そして、その場で返事をする義務もありません。
もし次に言われたら、と考えて用意している返し方はこんな感じです。
- 「そうなったら、金額はちゃんと話し合って決めたい」
- 「すぐには決められないから、考えさせて」
- 「子どものことだから、あいまいにはしたくない」
私はもう、「不景気よねー」で流すのはやめると決めています。あいまいな相づちを「合意してくれた」のように扱われたら困るからです。

その場で答えなくていいってことが分かるだけで、ちょっと息ができるね。
書面なし・LINEも消えた私が、いま作っている備え
我が家の取り決めは、LINEだけだった
ここで、残念な告白をひとつ。
我が家は離婚のとき、話し合って「養育費は夫の定年まで」と決めました。でも、公正証書などの書面は作っていません。話し合いはぜんぶ口頭とLINEでした。
そしてそのLINEは、年月がたった今、もう残っていません。
つまり、「定年まで」と話し合った証拠はゼロということです。(気づいたとき、ちょっと血の気が引いた。)

うちも口約束だけ…。
証拠がないと、もう打つ手はないのかな。
書面がなくても、調停は申し立てられます
でも、調べて分かったことがあります。
取り決めの書面がなくても、家庭裁判所に養育費の調停を申し立てることはできます。法務省も、取り決めをしていない人向けに簡単な申立書を用意しています。
弁護士に頼まなくても自分で申し立てできて、費用は収入印紙1,200円(子ども1人につき)と郵便切手代くらいです。
「証拠がない=打つ手なし」ではありませんでした。これを知ってから、また少し呼吸がラクになりました。
養育費の減額をほのめかされてから始めた備え
私が養育費の減額をほのめかされてから始めたのは、この4つです。
- 元夫とのやりとりは、残る形にする(LINEはスクショ、もしくはLINEのノートやアルバムに保存)
- 振込の記録を保管する(通帳・アプリの明細)
- 取り決めを書面にする準備(公正証書という選択肢も考え中)
- 無料の専門家相談の窓口を知っておく
公正証書については、作らなかった後悔も含めてこちらの記事にまとめています。
→養育費の公正証書って必要?後悔した理由と作り方・費用を解説
「何から手をつければいいか分からない」という段階なら、無料で専門家につないでくれる相談窓口もあります。
使うかどうかは別として、「いざとなったら聞ける場所がある」と知っておくだけでも、心の保険になると思います。
そして、「減額どころか、いつか支払いが止まったら…」という不安には、万一のときに立て替えて支払ってくれる養育費保証サービスという備え方もあります。
これも使う・使わないは自由ですが、選択肢として知っておくと少し安心だと思います。
→養育費を払ってもらえない時にやること|催促メール文例・差し押さえ手順まとめ
「養育費はもらえて当然、と思う私が悪いの?」と揺れたら
正直に言うと、私はどこかで「養育費はもらえるのが当然」と思っていました。だから、養育費の減額の話にモヤモヤしたんです。
だけど、モヤモヤしたあとに、ふと「もらう前提でいる私の方にも、問題があるのかな?」と思ったんです。
法務省の定義に戻ると、養育費は子どもの監護や教育のための費用です。
私のお小遣いではなく、子どもの生活と教育のお金。受け取る側が引け目を感じる筋合いのものではないはずです。
でも、それはそれとして、相手の収入が変わる現実はあり得ることで、「絶対に減らない」保証は、どこにもないんですよね。
だから私は、「もし減っても、最悪なくなっても、暮らしていける土台」を作る方に舵を切ることにしました。
ゆるくやっていた副業に本腰を入れました。このブログと、先月からは求人チラシを作る仕事も請け負い始めました。収益は、正直まだまだ小さいです。(ブログに至っては、情報発信することが最重要だと思っているので収益は全くありません。)
それでも、「養育費ありき」の家計思考から少しずつ卒業していく感覚は、自分の中では誇らしくて、想像していたより心の安定剤になっていると感じます。

相手を変えるより、自分の土台。
そう思えたら、少しラクになったんだよね。
相手に振り回されない土台を、今日から
- 養育費は子どものためのお金。支払う側が一方的に減額できる仕組みはない
- 金額の変更には、双方の合意か家庭裁判所の調停・審判が必要
- その場で返事をする義務はない。「ちゃんと話し合って決めたい」でOK
- 書面がなくても調停は申し立てられる。やりとりと振込の記録は今日から残せる
相手のあることだから、「減らされるかもしれない」という不安は、自分の努力だけでは消せません。
でも、記録を残すことと、自分の収入の土台を育てることは、今日から自分だけで始められます。
ただ不安なままでいるのは精神衛生上よくないですよね。だから、ひとつだけでもいいんです。
一緒に、自分の手の中にあるものを増やしていきませんか。



