ひとり親家庭を支えるために、「子育て・生活支援策」「就業支援策」「養育費の確保策」「経済的支援策」の4つの柱で、さまざまなサポートが行われています。
今回は1つ目の「子育て・生活支援策」について説明します。
子育て・生活支援策にはどのようなものがあるの?
子育て・生活支援策には、ひとり親家庭が安心して子育てできるように、「子育てを手助けする制度」や、「日々の暮らしを支える制度」など、いろんな方向から支えてくれる制度があります。
子育て・生活支援策:くらしや育児のサポート
- 母子・父子自立支援員による相談・支援
- ひとり親家庭等日常生活支援事業(ヘルパー派遣や保育サービス)
- ひとり親家庭等生活向上事業(学習支援、情報交換など)
- 母子生活支援施設
- 地域こどもの生活支援強化事業
- ひとり親家庭住宅支援資金貸付
- こども医療費助成(市区町村による・対象年齢や条件は自治体により異なる)
- ひとり親家族等医療費助成制度(都道府県による)
※これらの支援は、国が決めた制度をもとに各地域の自治体が実施しているものが多いですが、制度の内容や利用できる条件は地域によって少しずつ異なります。なかには、実施していない自治体もあるため、くわしい内容はお住まいの自治体に確認するのがおすすめです。
1. 母子・父子自立支援員による相談・支援
どんな人が使えるの?
ひとり親家庭や寡婦(夫を亡くした女性など)
どんな制度?
これからの生活や仕事のこと、お金のことなどを相談できる支援制度です。
どんなことをしてくれるの?
「自立支援員」という専門のスタッフが相談にのってくれます。
必要に応じて、ハローワーク・保育園・弁護士・心理の専門家など、他の機関ともつないでもらえます。
最近では、夜間や休日の相談や、必要な人に寄り添って一緒に動いてくれる「同行支援」も広がっています。
使うためには?
お住まいの市区町村の福祉担当窓口(「子ども家庭支援センター」「福祉事務所」など)に相談してみてください。「自立支援員と話したい」と伝えればつないでもらえます。
2. ひとり親家庭等日常生活支援事業(ヘルパー派遣・保育サービス)
どんな人が使えるの?
ひとり親家庭
どんな制度?
親が病気・出張・資格の勉強・就職活動などで忙しいとき、家事や保育を手伝ってくれる支援員(ヘルパー)を派遣してくれる制度です。
どんなことをしてくれるの?
食事の準備や子どもの世話、お買い物など、生活に必要なサポートが受けられます。
収入に応じて利用料がかかりますが、生活保護世帯や市民税非課税世帯は無料です。
最近では、定期的な利用もOKになり、支援を受けやすくなっています。
使うためには?
市区町村の窓口(「子育て支援課」「福祉課」など)に申請が必要です。「ひとり親家庭日常生活支援事業」と検索すると、お住まいの自治体のページが見つかることが多いです。
3. ひとり親家庭等生活向上事業(学習支援・情報交換など)
どんな人が使えるの?
ひとり親家庭の親や子ども
どんな制度?
生活の中で感じる不安や悩みを減らして、安心して暮らせるように支える制度です。
どんなことをしてくれるの?
たとえば、こんなサポートがあります:
- 生活や仕事、お金のことなどを相談できる窓口
- 家計管理や育児について学べる講座
- 子どもへの学習支援や進学の相談
- 同じ立場の人と交流できる会
- 子育てに悩む人のために、短期間施設で過ごせるサポート
- 放課後や夜に軽食や学びの場を提供(最近では、大学受験や模試の費用補助もスタート)
使うためには?
市区町村の窓口や、地域の「ひとり親支援センター」に問い合わせてみてください。「生活向上事業」や「学習支援」と伝えると案内してもらいやすいです。
4. 母子生活支援施設
どんな人が使えるの?
ひとり親家庭のお母さんと子ども(20歳未満)
どんなところ?
さまざまな理由で家で暮らし続けるのが難しくなったとき、ひとり親家庭のお母さんと子どもが一緒に暮らせる場所を提供してくれる施設です。
「施設に入る」という言葉に、ためらいを感じる方もいるかもしれません。でも、ここは罰でも失敗でもありません。
「今いる場所を離れる必要があるとき、次の生活を整えるまでの安全な場所」です。利用しているお母さんたちは、みな似たような状況からのスタートです。
DVや虐待など、特別な事情がある場合にも利用できます。その場合は、住所を非公開にするなどの安全対策もとられています。
どんなサポートがある?
住まいの提供に加えて、生活や子育てに関する相談、就労・自立に向けた支援も受けられます。
使うためには?
市区町村の福祉事務所や、配偶者暴力相談支援センター(DV相談窓口)に相談することで、入所につないでもらえます。「自分が使っていいのかわからない」という段階でも相談してかまいません。
5. 地域こどもの生活支援強化事業
どんな人が使えるの?
貧困家庭等のこども(ひとり親家庭の子どもも含まれる)
どんな取り組み?
「地域で子どもを見守る仕組み」をつくる取り組みです。こども食堂や体験活動、遊びの場など、子どもが安心して過ごせる場所を地域の中に用意します。
困りごとがある子どもを早めに見つけ、行政や支援団体につなぐことで、必要なサポートが届くようにすることを目的としています。
使うためには?
地域のこども食堂や学習支援の場は「こども食堂 + お住まいの市区町村名」で検索すると見つかることが多いです。全国のこども食堂情報は「こども食堂ネットワーク」のサイトでも確認できます。
6. ひとり親家庭住宅支援資金貸付
どんな人が使えるの?
自立に向けてがんばるひとり親家庭(就労中または就労支援を受けている方など、条件あり)
どんな制度?。
家を借りるときに必要な家賃などの費用を一時的に貸してくれる制度です。
敷金・礼金など、まとまったお金が必要なタイミングを支えてくれます。条件によっては返済が免除されることもあり、「お金がないから引っ越せない」という状況を打開する助けになります。
使うためには?
都道府県や指定の母子父子福祉団体に申請します。「ひとり親家庭住宅支援資金 + お住まいの都道府県名」で検索すると窓口が見つかります。他の就労支援や自立支援と組み合わせて使えることが多いので、まず自立支援員への相談から始めるのがスムーズです。
7. こども医療費助成(市区町村による)
どんな人が使えるの?
子ども(ひとり親家庭だけではなく、一般家庭も含む)
どんなサポート?
子どもが病院を受診したときの医療費の自己負担分を、自治体が助成してくれる制度です。対象となる年齢や所得制限、助成の内容は自治体によって異なりますが、「無料〜数百円の自己負担」で受診できる自治体が多くなっています。
使うためには?
市区町村の窓口で「こども医療費受給者証」などの交付申請をします。対象年齢は自治体によって異なるため、転居したときは必ず新しい自治体で再確認・再申請が必要です。
8. ひとり親家族等医療費助成制度(都道府県による)
どんな人が使えるの?
ひとり親家庭の「親」(子どもではなく、親本人が対象)
こども医療費助成との違いは?
7番のこども医療費助成は「子ども」が対象ですが、こちらは親本人の医療費を助成する制度です。運営主体も異なり、市区町村ではなく都道府県が制度を設けています(実際の窓口は市区町村の場合もあり)。「子どもは助成があるけど、自分の医療費が払えない」という状況を防ぐための制度です。
どんなサポート?
子どもと同様に、通院や入院にかかる自己負担の一部が助成されます。各自治体によって助成内容や条件が異なるため、お住まいの地域で確認が必要です。
ひとり親家庭を支える「子育て・生活支援策」は、暮らしの土台を整えるための心強い味方です。
家事や育児をサポートしてくれる制度、子どもや親の学び直しを支えてくれる取り組み、安心して暮らせる住まいや医療の助成まで、困ったときに頼れる支援がいろいろあります。
「この制度、自分が使っていいのかな」と感じたら、まずはお住まいの市区町村の福祉窓口に相談してみてください。使うかどうかは相談してから決めれば十分です。てくださいね。
「助けてほしい」と声を出すことは、甘えでも弱さでもなく、大切な「自分と子どもを守る力」です。


