ひとり親家庭を支えるために、「子育て・生活支援策」「就業支援策」「養育費の確保策」「経済的支援策」の4つの柱で、さまざまなサポートが行われています。
今回は4つ目の「経済的支援策」について説明します。
「今月、また足りなかった」
気づいたとき、誰かに助けを求める気力も残っていないことって、ありませんか。
ひとり親として生活していると、お金の不安は日常のすぐそばにあります。でも、その重さを少しでも減らすための制度が、国や自治体にはいくつもあります。
この記事では、現金がもらえる・税金が安くなる・お金を借りられる、という「経済的支援策」を5つ紹介します。全部使う必要はありません。「こんな制度があるんだ」と知っておくだけでも、いざというときの選択肢になります。
※この記事では、「母子家庭・父子家庭の親御さん」をあわせて「ひとり親」と表記しています。
経済的支援策にはどんなものがあるの?
経済的支援策には、現金が直接もらえる・税金が安くなる・お金を貸してもらえる、という子育てや生活に直接関係のある様々な給付金、手当、貸付金、減税制度があります。
経済的支援策:お金の給付・控除・貸付
- 児童扶養手当
- 母子父子寡婦福祉資金貸付金制度
- ひとり親家庭住宅手当(自治体による)
- 児童育成手当(主に東京都など一部の自治体)
- ひとり親控除(税金が安くなる制度)
これらは、全国で共通して利用できるものと、お住まいの地域(自治体)によって制度があるもの・ないものがあります。
医療費助成のように、日々の出費を減らしてくれる制度は「子育て・生活支援策」で紹介しています。▶「子育て・生活支援策」
1.児童扶養手当
「毎月の生活費、ちゃんと足りるのかな」——ひとり親になった最初の頃、そう不安になった人は少なくないはずです。
児童扶養手当は、ひとり親家庭の子どもの生活の安定と自立をサポートするために、国から支給される手当です。条件を満たせば毎月受け取れる、経済的支援策の中心になる制度です。

「私、もらえるのかな?」って最初は不安だったけど、申請したらちゃんと支給された。知らないまま放置しなくてよかった。
対象者
・離婚や死別などで父または母のどちらかと暮らしていない子ども
・親の生死がわからない(行方不明)、親に障害がある子ども
・基本は18歳までの子ども(障害がある場合は20歳未満)
※学年でいうと高校卒業の年度末までもらえます。
支給額(月額)
支給額(月額)
令和6年度の支給額(令和7年1月支給分から)
| 子の人数 | 全額支給 | 一部支給 |
|---|---|---|
| 子ども1人 | 45,500円 | 10,740円〜45,490円 |
| 2人目に加算 | 10,750円 | 5,380円〜10,740円 |
| 3人目以降(1人につき) | 6,450円 | 3,230円〜6,440円 |
・子ども1人の場合: 全額支給で45,500円、一部支給で10,740円~45,490円。
・子ども2人目にプラスされる額: 10,750円。
・児童3人目以降1人につきプラスされる額: 6,450円。
所得制限
親の所得や扶養親族の人数によって、全額支給・一部支給・不支給のいずれかになります。令和6年11月分(令和7年1月支給)から所得上限が引き上げられました。
| 区分 | 改定前(年収) | 改定後(年収) |
|---|---|---|
| 全部支給の上限(子1人) | 160万円 | 190万円 |
| 一部支給の上限(子1人) | 365万円 | 385万円 |
・全部支給の所得上限額(年収ベース・子ども1人の場合):160万円から190万円へ。
・一部支給の上限額(年収ベース・子ども1人の場合):365万円から385万円へ。
※所得が上がって手当の受給対象から外れた場合でも、一部の就労支援事業では1年間をめどに支援を継続できるようです。
支給時期
年6回、奇数月(1月、3月、5月、7月、9月、11月)に前々月と前月の2か月分の合計額が支給されます。
支給日は原則として11日です。

公的年金を受給している方へ。以前は年金があると手当が支給されませんでしたが、年金額が手当額を下回る場合は、その差額分が受け取れるようになりました。
また、受給資格を取得してから5年(または支給要件に該当してから7年)が経過して、就労が難しい事情がないにもかかわらず働く意欲が見られないと判断された場合は、手当が2分の1に減額される場合があります。
2.母子父子寡婦福祉資金貸付金
「急にまとまったお金が必要になった」「資格を取りたいけど学費がない」——そんなとき、低金利または無利子で借りられる制度があります。
用途に合わせて12種類の資金項目があり、生活や子育てに必要なお金を借りられる貸付制度です。
対象者
子どもを育てている母子家庭の母、父子家庭の父(平成26年10月1日より対象拡大)、寡婦などが対象です。

「寡婦(かふ)」とは、かつてひとり親として子どもを扶養していた女性のことを指します(母子父子寡婦福祉法第6条4項)。離婚・死別どちらも含まれます。「死別した人だけ」ではありません。
12種類の資金項目
資金は目的ごとに12種類あり、学費、資格取得費、生活費、引っ越し費用、結婚資金など、幅広い内容がカバーされています。
子どもの教育に使える資金
- 修学資金(高校・大学などの授業料・交通費)
- 就学支度資金(受験料・制服代など)
- 修業資金(子どもが就職のために通う訓練など)
親の仕事・生活を支える資金
- 技能習得資金(資格やスキルのための学費)
- 就職支度資金(通勤用の服や道具の購入など)
- 生活資金(就職活動中や資格取得中の生活費)
その他の生活支援資金
- 医療介護資金
- 住宅資金(購入・改築など)
- 転宅資金(引っ越し費用)
- 事業開始資金(起業時の設備費など)
- 事業継続資金(事業の運転資金など)
- 結婚資金(結婚のための準備費用)

資金の種類や連帯保証人の有無によって、**無利子または年利1.0%**での貸付です。
条件によっては返済が免除される場合もあります。
- 入学準備金・就職準備金は、取得した資格を活かして5年間働いた場合
- 住宅支援資金は、1年間働いた場合

「借りたら返さなきゃいけないから怖い」って思ってたけど、条件次第で返さなくていいこともあるんだね。無利子だし、知っておくだけで選択肢がぐっと広がりそう。
3.ひとり親家庭住宅手当
「家賃だけで毎月いっぱいいっぱい」——ひとり親の生活費の中で、住まいの費用は大きな負担になりがちです。
自治体によって家賃の一部に対して補助を受けられる制度があります。引っ越し費用の一部を補助するものもあります。

全国一律の制度ではなく、自治体ごとに「実施しているかどうか」「金額」「条件」がすべて異なります。まずはお住まいの市区町村の窓口に確認してみてください。
対象者
18歳または20歳未満の子どもを育てている人(自治体によって異なります)
支給額
自治体によって異なりますが、平均で5,000円~10,000円が多いようです。
たとえば:
東京都世田谷区で月額最大4万円
東京都国立市で家賃の3分の1(月額1万円まで)
兵庫県神戸市で月額最大1万5千円 など
所得制限
多くの自治体で児童扶養手当の所得制限限度額に合せているようですが、具体的な金額は市区町村によって異なります。
支給時期
具体的な時期は市区町村によって異なります。

「うちの地域にはあるのかな?」って思ったら、まず市役所に聞いてみて。知らなかったら損してた、ってこともありますよ。
4.児童育成手当
「住んでいる地域によって使える制度が違う」——それがひとり親支援の正直なところです。
自動育成手当は、東京都など一部の自治体が独自に実施している手当です。対象地域に住んでいる場合は、ぜひ確認してみてください。
対象者
東京都内に住所があって、一定の状況にある18歳までの子ども(学年でいうと高校卒業の年度末までの子)を育てている保護者
・両親の離婚により、父または母と生計を共にしていない子ども
・母親が結婚せずに出産した子ども
・父親または母親が重度の障害をもっている子ども
・1年以上、親に育てられていない子ども
・親が亡くなった、または生死がわからない子ども
・親が刑務所や拘置所などに1年以上入っている子ども
・DV保護命令を受けた子ども などが含まれます。
支給額(子ども一人あたりの月額)
児童1人につき月額13,500円です。
所得制限
申請者の所得制限があります。
支給時期
支給は申請のあった翌月から、毎年6月・10月・2月に前月までの分が振り込まれるのが一般的です(東京都の場合)。

「住んでいる自治体に制度があるかどうか」は、市区町村の窓口またはホームページで確認できます。東京都以外でも独自に実施している自治体がありますので、一度調べてみることをおすすめします。
5.ひとり親控除
「税金って難しくて、自分に関係あるのかよくわからない」——そう思って申請を後回しにしていませんか。
ひとり親控除は、条件を満たすひとり親が税金を安くできる制度です。申請しないと自動的には使えないので、知っておくことがとても大事です。

「難しそう」って思って放置してたけど、年末調整のときに書類に◯するだけだった。知らなかったら損してたな、ほんとに。
対象者
次の3つの要件をすべて満たす人(令和2年分の所得税から適用)
- 婚姻していない、または配偶者の生死が明らかでない(離婚・死別・未婚、いずれも対象)
- 生計を一にする子どもがいる(子どもの合計所得が年58万円以下のこと※)
- 自分自身の合計所得金額が500万円以下(給与収入のみの場合、目安は年収約670万円以下)

対象外になるケースを確認しておきましょう。
- 事実婚(内縁関係)の相手がいる場合
- 子どもが他の人の扶養親族になっている場合(例:離婚した元夫の扶養に入っている場合)
また、令和8年(2026年)分の所得からは、所得上限が1,000万円以下に、控除額も38万円に引き上げ予定です。
控除額
35万円(所得から引かれる金額。税金が安くなる仕組みです。)
給与所得者は年末調整で申請できます。自営業・フリーランスの方は確定申告が必要で、申請しないと自動的には適用されません。

「まだ一度も申請していない」という方は、過去5年分までさかのぼって還付を受けられる場合があります(更正の請求)。まず税務署やお住まいの市区町村に相談してみてください。

「難しそうだから後でいいや」って思ってたものが、実はずっと使えたってこと、ひとり親あるあるかもしれない。知ることって、ほんとに大事だな。
頼りになる5つの支援策ですが…
児童育成手当とひとり親家庭住宅手当は、地方自治体や都道府県が独自に実施している制度です。
私の住む雪あり県には、どちらもありませんでした。
制度の有無や内容は地域によって大きく違います。
「うちの地域には何があるかな?」と思ったら、まずは市役所や役場の窓口で聞いてみてくださいね。
“知らないと損する”制度、けっこうありますよ◎
お金の不安は、ひとり親生活のしんどさの中でも特に重くのしかかってくるもの。でも、その重さを少し軽くするための制度がちゃんとあります。
全部使う必要はありません。「こんな選択肢があるんだ」と知っておくだけで、いざというときに動けます。
一人で抱え込まず、使える制度は使っていきましょう。


